シュールストレミングの味はまずい?強烈な臭気と旨味の真相を徹底解明
テレビ番組の罰ゲームや動画配信者のリアクション企画で「世界一臭い缶詰」として圧倒的な知名度を誇るスウェーデン伝統発酵ニシン「シュールストレミング」。開缶した瞬間に立ち込める強烈な悪臭ばかりが強調されがちですが、気になるのは「食品として本当にまずいのか、それとも美味いのか」という根本的な疑問です。
ネット上では「生ゴミと下水が混ざったような味で絶対に無理」「悶絶するほど塩辛い」という悲鳴が上がる一方で、現地の愛好家や一部の食通からは「上質なアンチョビを超えた濃厚な旨味がある」「酒の肴として最高峰」という絶賛の声も聞かれます。発酵化学の視点や現地の伝統的な食文化、最新のネットの反応をもとに、悪臭の奥に隠された本当の味の真相を徹底的に掘り下げます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:単体で食べると「猛烈な塩分と発酵臭」で極めてまずいと感じやすいが、本質はアミノ酸が凝縮された超濃厚な「極上の塩辛・アンチョビ」。
- 要点2:臭気指数(アラバスター値)は約8,070Auでくさやの約6倍。加熱殺菌を行わず缶内で生きた菌が発酵を続けるため、ガスと旨味が極限まで生成される。
- 要点3:屋外・水中で開封し、伝統の薄焼きパン「トゥンブレッド」にジャガイモ、サワークリーム、赤玉ねぎと共に包んで食べることで真の美味しさが完成する。
【世界一臭い缶詰の真相】シュールストレミングの味は本当にまずいのか?
結論から言えば、シュールストレミングを缶から取り出してそのまま口に運んだ場合、大半の日本人は「塩辛すぎて耐えられない」「異次元の刺激臭で脳が拒絶する」という強烈な不快感を覚えます。日本のメディアやYouTubeの企画で挑戦者が嘔吐寸前になるのは、この「そのまま丸呑みする」という食べ方をしていることが最大の要因です。
しかし、味覚を構成する成分を冷静に分析すると、シュールストレミングの味の正体は「極限まで熟成された魚介の濃厚なアミノ酸の旨味」に他なりません。原材料はバルト海で春に獲れた新鮮なタイセイヨウニシン(ストレミング)と塩のみ。数ヶ月間の樽漬け発酵を経て缶に密封されたニシンは、自らの消化酵素と耐塩性乳酸菌によってタンパク質が分解され、グルタミン酸をはじめとする旨味成分の塊へと変貌を遂げています。
舌の上に広がる感覚は、日本の「鮎の塩辛(ウルカ)」や「熟成アンチョビ」「イカの塩辛」を何倍も濃厚にした味わいに極めて近く、舌を刺すような強い塩味の奥底に、クリーミーで芳醇なコクが潜んでいます。つまり、「まずい」とされる本質は味そのものの破綻ではなく、「常軌を逸した塩分濃度」と「揮発性ガスの強烈な嗅覚刺激」が人間の味覚防御反応を狂わせている点にあるのです。

シュールストレミングの臭いの理由とアラバスター値|科学が暴く発酵のメカニズム
なぜシュールストレミングは、ここまで凄まじい悪臭を放つのでしょうか。その秘密は、北欧スウェーデンの保存食作りに受け継がれる特殊な発酵プロセスにあります。
一般的な缶詰は密封後に高熱で加熱殺菌処理を行いますが、シュールストレミングは加熱殺菌を一切行いません。缶に詰められた後も、内部で好塩菌や乳酸菌、嫌気性細菌が生きたまま活動を続け、ニシンの脂質やタンパク質を分解し続けます。この過程で以下の強烈な揮発性ガスが大量に発生します。
- 硫化水素:腐った卵(温泉街のガス)のような刺激臭
- 酪酸:酸化したバターや強烈な足の蒸れた臭気
- プロピオン酸:ツンと鼻を突く酸臭・腐敗様の発酵臭
- 酢酸:刺激的なお酢の匂い
臭気の強さを客観的に測定する「アラバスター値(臭気指数)」において、シュールストレミングは測定限界に近い約8,070Auを記録します。これは日本の代表的な発酵珍味「くさや(焼き立て)」の約6倍、「納豆」の約18倍に達する数値であり、名実ともに地球上で最も臭い食品の頂点に君臨しています。
【徹底比較】世界の強烈発酵食品とシュールストレミングの数値データ
世界各地に存在する代表的な発酵食品・強烈臭食品とシュールストレミングを比較検証します。客観的な数値データと味の特性の違いを確認してください。
| 食品名(原産国) | 臭気指数(アラバスター値) | 塩分濃度と主な風味成分 | 編集部の見解・味の評価 |
|---|---|---|---|
| シュールストレミング (スウェーデン) | 約8,070 Au | 塩分約8〜10% 硫化水素、酪酸、グルタミン酸 | 単体では激辛塩分とガス臭。正しく食材と合わせると極上のアンチョビ化する。 |
| ホンオフェ (韓国) | 約6,230 Au | 塩分約1〜3% 強アンモニア、尿素分解成分 | 鼻腔を突き抜けるアンモニア臭。エイ特有の軟骨のコリコリ感と独特の甘味。 |
| エピキュアーチーズ (ニュージーランド) | 約1,870 Au | 塩分約2〜3% 酪酸、イソ吉草酸 | 缶内で長期熟成されたチーズ。強烈な獣臭と非常に深く芳醇なミルクの旨味。 |
| くさや(焼きたて) (日本・伊豆諸島) | 約1,267 Au | 塩分約3〜5% 酪酸、各種有機酸、アミン類 | 独特の発酵臭はあるが日本人の舌に馴染みやすく、噛むほどに魚の旨味が溢れる。 |
| 納豆 (日本) | 約452 Au | 塩分ほぼ0%(タレ別) ピラジン、ジアセチル、アンモニア | 大豆タンパク質が納豆菌で分解された旨味。海外からは臭気食品として認知される。 |

【失敗しない儀式】シュールストレミングの正しい開け方と現地スウェーデンの食べ方
シュールストレミングを安全かつ美味しく味わうためには、スウェーデン北部で何百年も受け継がれてきた「儀式」と呼ばれる正しい開缶手順と食べ方を厳格に守る必要があります。
1. 正しい開け方:絶対に室内で開けてはいけない
缶内には発酵ガスが充満し、内圧が限界まで高まっています。室内でそのまま缶切りを入れると、噴出した発酵液が天井や壁、衣服に飛び散り、数週間から数ヶ月にわたって悪臭が取れなくなる悲劇を招きます。
- 完全屋外を確保:風通しの良い屋外で、周囲に住宅や人がいない場所を選ぶ。
- 水中で開封する:バケツにたっぷりの水を張り、缶全体を沈めた状態で缶切りを差し込む。こうすることで噴出するガスと液体が水に溶け込み、周囲への飛散を完全に防ぐことができる。
- 内臓と骨の処理:取り出したニシンの身から骨や皮、内臓をフォークとナイフで丁寧に取り除き、身のフィレ部分だけを少量切り分ける。
2. トゥンブレッドとジャガイモで包む伝統の食べ方(クレンマ)
現地スウェーデンでは、ニシンの身をそのまま食べる人は一人もいません。伝統的な薄焼きパン「トゥンブレッド(Tunnbröd)」の上にバターを塗り、以下の具材を層にしてサンドイッチ(クレンマ)にして食べるのが王道です。
- 茹でたジャガイモ:角切りまたはスライス。強烈な塩味を優しく中和するベースとなる。
- 細かく刻んだ赤玉ねぎ:シャキシャキとした食感と香味で、発酵臭を爽やかにリフレッシュする。
- サワークリーム(グレッデュール):乳脂肪分のコクと程よい酸味がニシンの角を取り、味を劇的にまろやかにまとめる。
- シュールストレミングのフィレ:小指の爪ほどのごく少量(1〜2cm角)を乗せる。
一口かじると、サワークリームのまろやかさとジャガイモの甘みが口いっぱいに広がり、その中心から「極上アンチョビの凝縮された塩気と芳醇な旨味」がアクセントとして響き渡ります。アルコール度数の高い蒸留酒「アクアビット」や冷えたビールで流し込めば、北欧の過酷な冬を生き抜いてきた人々の知恵が凝縮された贅沢なグルメへと昇華します。
【実態検証】ネットの反応と体験者の生の声|阿鼻叫喚と絶賛の二面性
SNSやネット掲示板、各種レビューで実際にシュールストレミングを食べた人々のリアルな声を分析すると、評価は「開け方・食べ方」によって綺麗に二極化しています。
【阿鼻叫喚のネガティブな反応】
「動画のノリで部屋の中で開けたら、汁がカーテンに飛んで賃貸の退去費用を覚悟した」
「身をそのまま口に入れた瞬間、塩の塊とドブの匂いが脳を直撃して即座に吐き出した。人間の食べるものじゃない」
「匂いが指について、石鹸で5回洗っても丸一日取れなかった」
【正しく調理した人々のポジティブな反応】
「水中で開封し、薄焼きパンにポテトとサワークリーム、玉ねぎをたっぷり乗せて食べたら驚くほど美味しかった。完全に高級な塩辛サンド」
「最初の一口は勇気がいるが、ウォッカとの相性が抜群。脂の乗ったニシンのアミノ酸が脳を刺激してクセになる」
「単体では兵器だが、調味料・トッピングとして捉えるとこれ以上ない旨味の爆弾だと理解できる」
ネット上の声が示す決定的な事実は、「罰ゲームとして扱えば最悪の生ゴミ」であり、「伝統的な料理として向き合えば奥深い発酵美食」であるという強烈な二面性です。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|罰ゲーム化された伝統食
日本国内のネット空間では「シュールストレミング=嫌がらせ用の臭い缶詰」というイメージが定着していますが、これには文化的な誤解が多数含まれています。
第一に、スウェーデン現地においてシュールストレミングは決して罰ゲームの道具ではありません。毎年8月の第3木曜日に解禁される「シュールストレミングの会(Surströmmingsskiva)」は、短い夏の終わりを親しい友人や家族と屋外で祝い合う極めて神聖で楽しい伝統行事です。
第二に、「腐敗した魚」という認識は科学的に誤りです。腐敗とは有害な腐敗菌が増殖して毒素を出す現象ですが、シュールストレミングは高濃度の塩分下で乳酸菌と酵素の働きをコントロールした「正統な発酵食品」です。食中毒菌は繁殖できない環境が保たれており、保存食としての安全性は極めて高い水準にあります。
なお、国際航空運送協会(IATA)の規定により、気圧の変化で缶が破裂し機内に悪臭とガスが充満する重大インシデントを防ぐため、ほぼ全ての主要航空会社で機内持ち込みおよび預け入れ手荷物が禁止されています。日本国内で入手する場合は、安全に認可・輸入された専門業者からの通販を利用するのが唯一の正規ルートです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
文化社会学や食文化の受容心理において、未知の強烈な風味に対する嫌悪は「ネオフォビア(新奇恐怖症)」として自然な防衛本能です。好奇心だけで安易に手を出すと、後悔や周囲へのトラブルを招くリスクがあります。
【おすすめできる人の条件】
- ブルーチーズ、くさや、酒盗、フナ寿司などのクセが強い発酵珍味が大好物である
- 屋外の私有地やキャンプ場など、臭気が問題にならない安全な開封環境を確保できる
- ジャガイモ、サワークリーム、無塩クラッカーや薄焼きパンを事前に用意し、正しく調理する熱意がある
- アルコール度数の高いお酒(ジン、ウォッカ、アクアビット)とのペアリングを楽しみたい
【絶対に避けるべき・慎重になるべき人の条件】
- マンションやアパートなどの集合住宅住まいで、室内やベランダで開けようとしている(近隣トラブルの原因)
- 魚介類の生臭さや強い塩辛さがそもそも苦手である
- YouTubeやSNSの一発芸・リアクション目的で「単体を丸呑み」しようとしている
- 開封後の残り(生ゴミ)を密閉処理して適切に廃棄できる準備が整っていない
【シュールストレミング 味】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:シュールストレミングは日本国内でも通販で買えますか?
A1:Amazonや楽天市場、北欧食材を扱う専門の輸入商社を通じて通年購入が可能です。ただし、缶が膨張したデリケートな発酵食品であるため、クール便で配送される信頼できるショップから購入し、到着後も速やかに冷蔵保存(冷凍は不可)してください。
Q2:缶がパンパンに膨らんで丸くなっていますが破裂しませんか?
A2:缶の膨らみは、内部の発酵菌が生み出した炭酸ガスや硫化水素による正常な現象です。頑丈なスチール缶で作られているため通常は破裂しませんが、高温の場所に放置すると内圧が上がり破裂する恐れがあります。必ず冷蔵庫のチルド室で保管してください。
Q3:万が一、室内や衣服に液体が付いてしまった場合の消臭方法は?
A3:水で濡らした雑巾で拭くだけでは悪臭成分が拡散します。酸性の悪臭(酪酸・酢酸)には「重曹水」をスプレーし、硫化水素などのガス成分には「次亜塩素酸水」や「酸素系漂白剤」を用いて酸化分解するのが効果的です。衣服の場合は熱湯消毒と重曹浸け置きを数回繰り返す必要があります。
Q4:食べきれずに残った中身はどうやって処分すればいいですか?
A4:そのまま生ゴミに出すと異臭騒ぎの原因になります。残った身や骨、汁は新聞紙やキッチンペーパーに吸わせ、ポリ袋に入れて「重曹」または「生ゴミ消臭剤」を大量に投入します。それを防臭袋(BOSなど)に入れ、何重にも密封して可燃ごみの収集日当日の朝に出してください。
まとめ:強烈な悪臭の先に広がる北欧の濃厚な旨味文化
シュールストレミングは、決して人を苦しめるために作られた「兵器」ではなく、過酷な北欧の冬を生き抜くために育まれた偉大なスウェーデンの食文化遺産です。
その味は、単体で食べれば耐え難い塩辛さと悪臭に圧倒されますが、水中で慎重に開け、ジャガイモやサワークリーム、パンと共に正しく味わえば、他の食材では決して到達できない「超濃厚なアミノ酸の旨味」へと姿を変えます。もし挑戦する機会があるなら、悪ふざけの罰ゲームではなく、異国の伝統の知恵に敬意を払い、正しい作法でその奥深き味覚の世界を体験してみてください。 (出典: シュールストレミング 味(Yahoo!ニュース))